アトピーと土用

土用とお灸について

●土用にして灸を据うべき頭痛あり (漱石)

●わが背に艾の燃ゆる土用かな (草城)

●いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸 (蛇笏)

あの有名な夏目漱石も俳句に詠んでいた「土用のお灸」、お灸は日常の養生だったのです。 もちろん、効き目があればこそでしょう。 細菌やウイルスを知らず抗生物質もない時代に、お灸で免疫力を高めていた先人の観察力とその英知を尊敬せずにいられません。 さて、その土用、夏を思い浮かべる方も多いと思いますが、土用は各季節にあります。 陰陽五行説で、春・夏・秋・冬をそれぞれ木・火・金・水とし、 (余った?)土を各季節の終わりの18日間に当てはめたことから、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を土用といいます。 次の季節へ移る前の調整期間です。 ※春土用の期間は立夏前の18日~19日間を指します。 毎年なぜ日付や日数が変わってしまうのかというと、 毎年変化する太陽黄道(たいようこうどう・たいようおうどう)にもとづいて土用の日付が決定されるからです。 ※太陽黄道とは・・・地球から見た空における太陽の通り道のこと。

土用の食べ物

「夏土用=うなぎ」は、広く定着していますが、それぞれの季節の土用に食べる特別なもの(行事食)はあるのでしょうか? 最初にお伝えしたように、土用は季節の変わり目になります。 季節の変わり目は体調を崩しやすいということで、カラダを調整するという意味でも、栄養価の高い旬のものをいただきましょう、とされています。 それぞれの土用の時期に気をつけるべきこととして、以下のようなことが考えられます。

冬土用/風邪をひく、インフルエンザに感染する
春土用/五月病、やる気がなくなる
夏土用/熱中症、夏バテ
秋土用/夏の疲れがでる、老ける
これを受けて、それぞれの季節によって、その色と干支にちなんだ食べものがあります。
冬土用/未にちなみ「ひ」のつくもの、または赤い食べ物
春土用/戌にちなみ「い」のつくもの、または白い食べ物
夏土用/丑にちなみ「う」のつくもの、または黒い食べ物
秋土用/辰にちなみ「た」のつくもの、または青い食べ物

丑の日に、ウナギを食べるだけでなく、先人の知恵を生かした、各季節の土用にちなんだ食べ物を食べるのも良いですよね。

土用は次の季節への準備期間

すべての「土用」は、季節と体調にあわせて、季節のものを美味しくいただいて、次の季節を健やかに迎える準備期間でもあります。
たかが昔の習わし・・と侮ることなかれ!実際に季節の変わり目は、激しい気温や湿度の変化などで体調を崩しがちです。
こんな時に、日頃の不摂生で免疫力が低下している場合は特に心配。
食事や生活を見直して、お灸・金銀粒で少しでも免疫力を上げることで次の季節へ向けての準備が整います。

悠々堂 まき鍼灸院